Wednesday 17 September 2008

River Tango

 先週の木曜から日曜まで、River Tango - London International Tango Festivalがおこなわれた。毎晩大きなミロンガが開かれ、テムズ川沿いにあるTate Modern Musiamの前に設けられた野外ステージでは、土曜と日曜にパフォーマンスやミロンガが開かれた。

 私のタンゴの先生のKimとDavidは、土曜日の午後にパフォーマンスをしたので、見に行った。

 パフォーマンスのあとはフロアがミロンガに早変わり。私も数曲踊ってきた。

 夜は、Bloomsbury Ballroomという、アールデコ調のposhなダンスホールでのミロンガ。ブエノスアイレスからやって来たDJのFelix Pichernaは、DJ歴51年という。

 11時からはSexteto Milongueroのコンサート。コンサートといっても、聴いているだけではなく、当然みんな踊る。

 そして0時からはパフォーマンス。2組目のLos Hermanos Macana(Macana兄弟)が素晴らしかった。残念ながらこの夜のパフォーマンスのクリップは見つからなかったけれど、これはNYでの同じ演目。

 踊って、聴いて、見てと、2時近くまでたっぷりと楽しんだ。

Saturday 6 September 2008

新しい靴

 私の1足目の靴は、かなり汚れが目立ってきたものの、まだ現役である。お出かけ仕様の靴をレッスンで酷使しているのだから、罰当たりである。

 問題は、サイズが大きいこと。ロンドンで普通に手に入る一番小さいサイズ(サイズ35)なのだが、それでも大きい。はじめは気にならなかったが、2-3回履くうちに、ゆるゆるになってしまった。試行錯誤の末、踵側に二重にパットをつけることで、なんとか解決した。ぱっと見るとわからないが、よく見るとパットがあるのがわかるので、ちょっと格好が悪い。

 Kimがブエノスアイレスに帰った時に、サイズ34の靴を買ってきてくれた。リクエストは、つま先がオープンになっていて、うるさくない色で、ヒールができるだけ高いもの。私は背が低いので、ヒールが高くないと、背の高い人と踊れない。

 リクエストどおりの靴を買ってきてくれたのだが、実は、お店に在庫のあった、唯一のサイズ34、9cmヒールの靴だったそうである。Kimも同じタイプのものを買ったそう。

 地味に見えるが、ヒールが鏡のようなシルバーなので、踊っているとライトを反射してキラキラ光る。上手にならないと、これを履いて踊るのはちょっと恥ずかしいかも。

Friday 5 September 2008

Painful routines

 KimとDavidがブエノスアイレスから戻ってきた。さっそく月曜日のimprovers classへ。

 前の週の私たちときたら、夏休みが終わりに近づいて、学校が始まるのが待ち遠しくてたまらない小学生のよう。彼らがいない間、スタイルのまったく異なるBrunoとMariangelesのレッスンを受けていたので、「KimとDavidはにこれをやってみせよう」とか「私たちのスタイルが変わっているのを見てショックを受けるのではないか」とか、そんな話ばかりしていた。

 そして月曜日。1ヶ月の夏休みなど存在しなかったかのように、普通にレッスンが始まる。当然はじめは30分間の基礎レッスン。「なんだか、みんなぐらついているね」というKimのコメントとともに、少し上達したという自信は粉々に散った。

 Kimが買ってきてくれた新しい靴を履いてレッスンすることになったから、さらに大変だった。ヒールの高さはいつも履いている靴と同じはずなのだけれど、高さや幅の感覚が微妙に違うので、頭もからだも混乱から回復できないまま、1時間半のレッスンが終わった。

 足が痛い、全然できない等々文句を言いながらも、「あの」大変な基礎レッスンをまた受けることができて、なんとなく嬉しくなってしまう私たちって、どうなのかな。でも、いったんKimとDavidの美しい足さばきや姿勢に魅せられてしまったら、しょうがないよね。

Sunday 17 August 2008

グルーピー

 KimとDavidは8月いっぱいブエノスアイレスに里帰りしている。レッスンがなくて物足りないと思っていたら、運のいいことに、入れ替わりにというわけではないが、BrunoとMariangelesが7月下旬から9月頭までロンドンにいるという。

 Brunoはものすごく性格のいいお兄ちゃんで、Mariangelesは、若いのだけれど、ちょっとラティーノのおばさんみたいなところがある。2人とも素晴らしいperformerであるだけでなく、教えるのが上手。

 レッスンで生徒たちが踊っている間、彼らは別々にフロアをまわりながら、ひとりひとりにアドバイスをしていく。質問をするとやってみせてくれる。Brunoと踊ると、的確なリードのおかげで、自分ではないようにうまく踊れる。私は思わず口元がゆるみ、目がハートになってしまう。まわりの女性陣も、似たようなリアクション。

 友人のA(男性)は、「Mariangelesは、胸と胸がつながっているみたいに、ぴったりフォローしてくれる。素晴らしい!」と、やはり瞳キラキラで話していた。

 Bruno & Mariangelesは、あちこちのクラスをまわって教えているので、私たちはこの2週間、グルーピーのように、彼らがいくところについてまわり、レッスンを受けている。同じことを考えている人はけっこういるようで、行く先々で似たようなメンバーと顔を合わせる。

 仲間うちでは、9月にKim & Davidがもどってくるまでに上達して、彼らを驚かせようというのが、合い言葉になっている。

Wednesday 13 August 2008

父と娘

 Silvio Laviaと娘のEstrella。

 これは1年後。

 うちのパパは盆踊りしか踊れないからね。

Saturday 9 August 2008

Fun, Relax and Love

 昨夜はNegrachaに2回目のお出かけ。ミロンガの前に、2006年のMundial De TangoのチャンピオンのCarlos Paredes & Diana GiraldoのTango Canyengue styleのレッスンがあった。レッスンでこんなに笑ったことがないというほど、hilariousなレッスンだった。Canyengue styleのステップの間の取りかたが、classicalなタンゴのステップと違ってなんとなくおかしいのだけれど、それ以上に彼の教え方がおもしろい。めちゃくちゃな英語で「大事なことが3つある。Fun, Relax & Love」といって、女性と組むたびに「Love me!」と、hugを要求する。普通にhugするとダメが出て、もっと全身ぴったりくっついてhugしなさいと言う。

 冗談めかしているものの、この「Love指導」は、余分な力を入れずコンタクトを保つという、embraceの本質をついているのだから、あなどれない。

Saturday 2 August 2008

デビュー

 ミロンガ・デビューを果たしました!

 昨夜は、Holbornで毎週金曜日開催されているNegracha Tango Clubへ。7時半から90分のintermediateクラスがあり、9時から朝3時まで、2フロアのミロンガ(タンゴのダンスクラブ)が開かれている。2階はtraditionalな雰囲気のミロンガで、遅くなるほど上手な人たちが集まってくる。地下は、neo tangoの音楽がかかり、踊っている人たちも若く、ややリラックスした雰囲気。

 私は10時過ぎまで2階で、それ以降は地下で踊った。Kim & Davidのクラスはいつもジムのスタジオでおこなわれているので、スタジオから出て踊るのは、今回がほぼ初めてだった。友人以外と踊る機会もあり、「ミロンガで踊るのは今日が初めてなんです」と言い訳しながらも、なんとかフォローできたので、少し安心した。

 初めてのミロンガは、緊張と不安で始まり、最後はちょっと楽しんでおしまい。もう少し場数を踏んで度胸がつけば、もっと楽しくなるのかな。

Sunday 27 July 2008

久しぶりのタンゴ

 久しぶりのタンゴは、テクニック・セミナー。2時間延々と、ステップとochoの練習に励む。2週間もヒールを履いていなかったにもかかわらず、gyrotonic10日間集中特訓の成果か、大腿内側からseed centreにかけてのつながりがよくなって、ぐらつくことが減った。また、腕から胸、seed centreにむかうconnectionができてきて、ochoのpivotが安定した。

 レッスンのあとは、数人でお茶をしに出かける。話が弾んで、お茶だけのはずが、夕ご飯も食べて、気がついたら3時間半もたっていた。improversのクラスのメンバーは、最近お互いにぐんと仲良くなり、あちこちのミロンガに一緒に出かけているらしい。私がミロンガで踊ったことがないと言ったら、今度の金曜日に一緒にNegrachaに行くことになった。いよいよミロンガ・デビューである。

 KimとDavidがあさってから里帰りするので、タンゴのレッスンは1ヶ月夏休み。ミロンガに通って実践練習に励む夏になりそう。

Thursday 24 July 2008

やっぱりひとりでは難しい

 24時間がかりで帰国した疲労がなかなか抜けず、時差ぼけもきつい。仕事に出たら一気に現実に戻されてしまい、NYで感じたややeuphoricなムードはあっという間にどこかへ行ってしまった。

 こんなことではいけないと、足を引きずりながらスタジオへ。誰もいない中、黙々とハンドルをまわした。Sebastianが、心臓の鼓動のリズムでハンドルを回せるように、慣れるまではメトロノームを使うのも手だと教えてくれたので、さっそく試して使ってみた。他の人の迷惑にならないようにイアホンでも聞ける電子式メトロノームを購入した。マニュアルのカチッカチッという、なんとなく懐かしくなるような音が出ないのは残念だけれど、とりあえず音は刻んでくれるので、これでよしとする。

 頭を使わずに体を動かすことをひたすら念じ続けながら、90分のワークアウトに励んだ。NYに行く前のように、考えすぎて、セッションが終わったら体も頭もがちがちになってかえって疲れてしまうようなことはなかったけれど、やっぱり、NYで感じたような、骨になる感じは味わえなかった。難しいなあ。

Wednesday 23 July 2008

Day 6

 最終日は、またまたマラソンarch & curlで始まった。20分あまりもハンドルをまわし続けただろうか。最後は、筋肉や内臓が全部なくなり、骨格標本が動いているような気分になった。なんとなく、Tim Burtonの映画の一部になったよう。

 最後の難関のSciatica combinationの練習。大腿後面やお尻がつりながらも、なんとかとりあえずそれらしい動きをするふりをすることができるようになったところでおしまい。

 最後の最後になって、いつも気分が悪かった胸椎のひっかかりは、腰からきていたということを発見。腰椎と仙骨をまっすぐにすると、胸椎のひっかかる感じがなくなり、尾骨から頭の天辺までつながる感じが出てくる。この感じを味わっただけでも、10日間動き続けた甲斐があったと、なんとなく感無量になった。

 飛行機の時間までずいぶんとあったので、Emilyのプライベートを受けて、締めくくりにした。

   こんなに運動したのに、体は元気で、まだまだ動けるような気がした。10日間で、体は元気になって若返った感じ。

 で、このあと、スムーズにロンドンに帰ってきてめでたしめでたしのはずだったのだが、とんでもないことになった。JFK空港からのVirgin Atlanticの夜の便は、予定から4時間遅れて真夜中に離陸。ところが、カナダ上空で客室内の気圧が突然低下し、酸素濃度を維持するために高度3.8万フィートから1万フィートまで下降したあげく、ロンドンまでこの高度で飛ぶには燃料が足りないため、JFKに戻ることになった。早朝4時半にJFKに着陸し、そのあと段取りも何もまったくない中、荷物の受け取り、チケットの再予約と並び続けて、なんとかJFKを再度飛び立ったのが朝の9時半。予定から12時間遅れてぼろぼろになって、ロンドン時間の夜9時半にやっとヒースローにたどりついた。10日間の連日の運動よりも、この旅のほうが数千倍も身体的にしんどかった。それにしても、Virginときたら、危機管理がまったくできていない。

 唯一のgood newsは、補償として、Virginの直行便の往復チケットをもらったこと。これでもう一度NYに行ける!

Sunday 20 July 2008

Day 5

 今日は、椅子での準備運動なしにいきなりarch & curlで始まった。ようやく動けるようになったSebastianもマシンに乗り、彼のかけ声にあわせて5人で延々とハンドルをまわし続けた。Sebastianは、gyrotonicで大事なのは動きと呼吸とリズムとよく言う。私は3つともまだまだできないのだけれど、最後のリズムはとくに苦手である。動きをきちんとしなければと思うあまり、力まかせでぎこちのない、もたもたとした動きになってしまう。その点、グループレッスンはとてもいい。みんなについていくのに必死になるので、細かいことに気を取られる余裕がなくなる。そうすると、不思議なことにリズムが出てきて、頭で考えてもできなかった動きがふとできたりする。頭が空っぽになって、マシンの一部になったようにハンドルを回し続けるって、ほんとうに気持ちがいい。

 レッスンのあとは、コースで一緒のみんなと夕ご飯へ。残りあと1日。

Saturday 19 July 2008

Day 4

 Review後半が始まった。Sebastianは、げっそりしてはいるものの、なんとか復活。医療用の電解質入り水をちびちびと飲みながら、teachingしていた。

 私は睡眠不足気味で、初めはなかなか体が動かなかったのだが、Sebastianのかけ声にあわせて、arch & curlを延々と繰り返しているうちに、Emilyに教えてもらったarch & curlのコツがなじんできて、30分もたったら、体は軽くなり、気分がよくなった。単純である。

 コースのあとでちょっと復習してから、Metropolitan museumへ。金曜日は夜9時まであいている。地下鉄もバスもなんとなく使い勝手が悪く、しかたなく、最高気温35度の中、Central Parkに沿って五番街を歩く。そして、Metの中を4時間歩き回った。

Friday 18 July 2008

Interval

 今回のNY滞在は、コースが3日ずつ2回の週末に分かれているので、あいだの4日間は、NY観光にあてる予定でいた。ところが、Sebastianが、intervalの間も時間をつくって練習したほうがいいと言うので、フルで観光しながら、数時間のgyrotonic/gyrokinesisもこなすという、とんでもないスケジュールになってしまった。

 Sebastianのprivate lessonをとる予定だったのだが、あいにく彼がstomach fluでダウンしてしまい、キャンセルになり残念。それでも、gyrotonicのグループレッスン(グループはなんと初めて!)、Erika Hassanの新バージョンのgyrokinesisのクラスを2回、Emilyのone-to-oneを受けた。その合間に、もちろん復習も。

 観光は観光で、City Passというクーポンを買ってしまったので、使わなければという強迫観念にとらわれて、あちこち見て回った。よくこんなに動けると思うくらい歩いて回った。おそらく、ロンドンにいる時の100倍くらい、体を動かした。

 gyrotonicからなかなか頭が切り替わらず、恐竜の化石を見ると、恐竜の骨盤から目が離せなかったり、MoMAでaudio tourを聞くために立ち止まっている時、ふと気がつくとnarrowing the pelvisや小さなarch & curlを試していたりと、我ながら、どうしようもないと思ってしまった。

Monday 14 July 2008

Day 3

 Review前半最後の日は、質問タイムが発展して、Seabstianのgyrotonicに関する講話で始まった。gyrotonicのエッセンスがだんだんと理解でき、体がかわってくるのに少なくとも1年かかるが、体をegoから切り離して道具として使えるような人は進歩が早いとか。外在化するってことかしら。彼は、東洋人と西洋人はegoとのつきあい方が違うから、この点でもちがうかもしれないと言っていた。たしかにばりばりに強いegoはないかもしれないけれど、そのかわりに常に外にある対照にあわせて自己監視をしていたら、うまく外在化できないことには変わりないと思う。この辺はもう少し考えてみるのもおもしろそう。

 Sebastianは、コースの最中、動きのclean-upという言葉をよく使う。Foundation courseの時とはまったく違って、ひとつの動きやhand-onについて、一言二言注意する点を言われ、それを気をつけながら何度か練習したら次に進んでしまう。その一言二言が、spot-onなので、逃さないように頭と体に叩き込まなくてはならない。たいていの場合、頭に入れるだけが精一杯ではあるけれど。

 3日目が終わったら頭が飽和してしまった。ほかの3人も同じように感じたらしく、誰も自主練に残らず、即スタジオをあとにした。

Sunday 13 July 2008

Day 2

 きちんと下腹部(seed centre - 丹田のあたり)で呼吸をすると、背骨のしっぽから頭の先までengageした動きができるらしい。「らしい」というのは、私ができたり感じたりしたわけではなく、Sebastianがやってみせてくれるのを見て、なるほどと頭でわかっただけだから。

 これまでは、おへその上を膨らませたりへこませたりしていたので、その位置をもっと下へもっていこうと努力はしているが、なかなかおへそを超えられない。たまに1cmくらい下のあたりで呼吸ができると、苦手なcurlがいつもよりもうまくできるので、さらに下まで意識できるようになると、動きの質がもっとよくなるのだろうと思う。

 夜は、Broadway Theatreで、Cirque Dreams jungle fantasyを観た。舞台の美術やコスチュームはartisticで美しく、サーカスの芸人(他に呼びかたを思いつかない)たちも、素晴らしかった。人間業とは思えないような芸も、体の使いかたをよくよく見ると、reviewで習っていること(5th lineが通っている、scoopをちゃんとしている等々)があてはまる。上手な体の使いかたには共通点があると、あらためて気がついた次第。

Saturday 12 July 2008

Day 1

 Apprentice Review Courseが始まった。

 Sebastianのスタジオは、セントラルパークのすぐ近くのオフィスビルの2階にある。一歩足を踏み入れると、外の喧噪が嘘のように、「ジャイロッ!」という世界が現れて、一気に気分が切り替わる。木の床の淡い色合いやすべり具合(というよりも、すべらなさ具合と言うべきか)、壁にかかった写真や墨書、たくさんのマシンの混み具合が全部あわさって、心地よい空間をつくっているのだと思う。

 参加者は私を含めて4人。私以外はみんな、プロのインストラクターだけれど気にしない、気にしない。

 今日の一番の収穫は、narrowing the pelvisの感覚がほんの少しわかるようになったこと。そうはいっても、inner thighsを内側に押す感じはまだつかめない。Sebastianにそう言うと、「6日間あるんだから」と返ってきた。

 お昼休憩をはさんで、4時間があっという間に過ぎた。できないことはあいかわらずたくさんあるけれど、できなかったことが少しできるようになったり、うまく消化しきれずにもやもやしていたことがすっきりしたりと、嬉しいことのほうがたくさんあったので、気分も(まだ)前向きでいられる。

 ジャイロトニックは名前のごとく、らせんの動きを特徴としているが、学んでいく過程もspiralだと思う。決して直線的に前進しないけれど、ぐるぐるとまわりながらも、気がつくと前に進んでいる。

 明日は、どんな発見があるのかな。

 New York Time 11:37, 11 July 2008

Thursday 10 July 2008

New York New York

 New Yorkに来た。10日間滞在する予定。20歳の時に一度来て以来なので、21年ぶりである。

 明日から、マスタートレーナーのSebastian Plettenbergのもとで、Gyrotonic Apprentice Review Courseを受ける。週末3日間を2回なので、途中の4日はちょっとした休暇になる。

 2月に東京でGyrotonic Foundation Courseを受け始めた頃は、趣味として楽しめば十分だと思っていて、自分が教えることになるなど夢にも考えていなかった。ところが、心身ともにぼろぼろになりながらもFoundation Courseを乗り切ったら、少し欲が出てきて、無理のない範囲でteachingに挑戦するのも悪くないかなと思うようになった。

 とりあえずやってみよう、続かなかったらそれでもいいやと、かなりいい加減な気持ちで始めたのだが、やってみると、教えることで新たな発見があるのがおもしろくて、友人や、友人の友人に協力してもらいながら、週末を使って細々とteachingを続けた。

 Apprentice Courseを受けるには、30レッスンをこなしていなければならない。途中ペースダウンしたものの、32レッスンを終え、明日からApprentice Courseを受ける条件だけはなんとか満たした。

 趣味の延長なので、プロのインストラクターたちに比べると、「教える」ということに対する真剣さや覚悟がまったく足りないと思う。そのかわり、自分の体が少しずつ変化していって、これまでまったく意識しなかった(できなかった)筋肉を感じることができるようになるとか、まったく関係ないと思っていた体の部分がコネクトすると動きの質が変わるとか、そういう発見への興味や好奇心は、たくさんある。足りない部分はこれでカバーして許してもらうしかない。

 なにしろ本業の仕事が忙しくて、出発の前夜は一睡もせずに仕事をし、徹夜明けで空港にむかった。それでもまだ終わらなかった原稿があるので、仕事を抱えての休暇になってしまった。飛行機の中では、出てくる食事を食べているか、うとうとしているか。せっかくVirgin Airlineに乗ったのに、映画を1本も見なかった。まあこれで、時差ぼけの調整が楽になるかもしれない。

 Gyrotonic三昧の6日間と、21年ぶりのNew York観光を思い切り楽しもうと思う。

Saturday 5 July 2008

a breakthrough

 6月の土曜日のセミナーのお題は「The Improvers Intensive」。Improvers(初級レベル)のための特訓セミナーといったところか。先生のKimによると、Beginners(初心者)のレベルからImproversへのステップアップに比べると、ImproversからIntermediateへのハードルはものすごく高く、誰もが苦労するそうで、そんな初級者たちをサポートするためにこのセミナーを始めそうである。

 特訓といっても、初心者のクラスと比べて難しいことや派手なことをするわけではなく、ひたすらqualityとvariationの向上を追求する。美しいステップ、正確にきちんと伝わるリードと的確に反応するフォローなどなど。

 今回の4週間(参加したのは3回)のセミナーで、私はようやく、フォローの壁をようやくひとつ乗り越えることができた。男性のリードにどうやって反応したらいいのか、少しわかってきたような気がする。ペアで踊るのが以前ほどいやではなくなった。

 セミナーに参加していた面々は、毎週月曜のレギュラーのImproversクラスでも顔を合わせる人が多い。中でも数人の男性は、この4週間の間に明らかにリードがうまくなった。(女性のことは、ペアで踊る機会がないので、よくわからない。)それぞれにpriorityがまったく違って、習ったパターンを正確にできるように練習する人、繊細なリードを追求する人、大胆なバリエーションに挑戦する人といろいろだが、踊りやすくなったことはまちがいない。ほとんどは、同じ時期にタンゴを始めた人たちである。2ヶ月前はペアで踊るのが精一杯だったのにと思うと、他人ごとながら嬉しくなる。むこうも、私のことを同じように思っているのだろう。2ヶ月前はリードしてもついてこれなかったのに、ようやくフォローが少しできるようになったねって。

 そろそろミロンガにデビューしても大丈夫かしら。

Tuesday 10 June 2008

エルフ耳

 今日はGyrotonicのお話。

 このところ、どうやって背骨を長くして、脊椎骨ひとつひとつのあいだにスペースをつくって、そのスペースを保ちながら背骨を反らせたり(arch)丸めたり(curl)するかというのを、練習のテーマにしている。おかしな癖があって、archの時に、上を向きすぎて首がうしろに反りすぎてしまったり、胸が前に出すぎてしまったりする。

 先日のRitaとのセッションで、arch & curlの動きを練習していた時のこと。Ritaはいきなり私の両耳をつかんで、上のほうに少し引っ張りあげて、「頭だけでなく、耳も上に」というようなことを言った。えっ、耳?と思ったけれど、このcueがなぜかうまくはまったようで、以来、首がうしろにカクンと曲がってしまう癖は、なおったような気がする。

 耳が上、耳が上、と心の中で唱えながらarch & curlの練習をするたびに、私は一瞬、Lord of the Ringsに出てくるエルフになっている。気分はGaladriel。耳だけなんだけれど。

Saturday 7 June 2008

下駄と鎌とリラックスした踵

 ロンドンには約6万人の日本人がいるといわれ、「○○県人会」やら「○○大学同窓会」など、いくつもの会がある。私は、自分の出身地の県人会には一度も顔を出したことがないのだが、ひょんなことから会長さんとお知り合いになった静岡県人会の毎月の例会には、時々顔を出している。

 静岡県人会は、ニュースレターも発行している。先日、ニュースレターの原稿を依頼されたので、自己紹介を兼ねて、ジャイロトニックとタンゴについての短い文章を書いた。ニュースレターが発行されたので、ここに転載する。(一部改変してあります。)

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 このところ、もっぱら「足形」に悩んでいる。というのも、去年から始めたアルゼンチン・タンゴとジャイロトニックのせいである。

 昔々、器械体操の選手だった頃は、つま先はいつも伸ばしているように指導された。足の指がぴんと伸びて、踵のところで曲がっていないのがお約束。ちょっとでも踵が曲がっていると「下駄!」と声が飛んできた。この経験から、体操やダンスに関する分野では、つま先は伸ばすものだと信じていた。

 ところが、ちがったのである。

 まずタンゴでは、つま先をのばし、足をやや外側に向けた「足形」が基本である。一見バレエなどの足形に似ているが、タンゴの場合、ただ伸ばすだけではなく、「踵をリラックスさせる」、つまり、つま先はきっちり伸びているのに、踵はリッラクスしながらも少し曲がっている。「relaxing the heals!」と注意されるたびに、そんなことは可能なのか、不思議に思う。KimもDavidもやっているのだから、もちろん可能なのだろうけれど、私の足は言うことをきかない。

 もうひとつは、ジャイロトニックの「足形」。大腿後面のエクササイズでは、動きに合わせてつま先を伸ばしたり(”point”)、踵から曲げたり(”flex”)する。時には、ダンスの「足形」同様、足をやや外旋させる。ところが、器具とウェイトのせいで、なかなか自分の動きをコントロールできず、踵が曲がった状態で、つま先と足底が内側に向いてしまい、極端な内股歩きのような「足形」になってしまう。この世界では、これは「鎌」と呼ばれる。名前のとおり、鎌の刃に似ているからだ。

 練習すれどもなかなかできるようにならず、夢の中でまでも「足形」に悩むこの頃である。

Saturday 31 May 2008

寝てもさめても

 テクニック・セミナー以来、すっかりタンゴ中毒に陥ってしまい、寝てもさめてもタンゴのことを考えている。ちょっと時間が空くとYouTubeのタンゴのクリップを見始めて、はっと気がつくとかなりの時間がたったりしている。

 久しぶりにタンゴもGyrotonicもない土曜日。気をつけないと、一日中クリップを見て過ごしてしまいそうである。締め切りがすでに過ぎてしまった原稿を抱えているので、今週末はなんとしても仕事をしなくては。だから、YouTubeは、来週まで封印する。

Friday 30 May 2008

復活

 6日間のお休みのあと、CherieのGyrotonicのセッションを受けた。お休み中も、呼吸やarch & curlはちょこちょこと練習していたのだが、いっこうにあたまの混乱は収束しない。はたしてきちんと1時間のセッションがこなせるのかと、いささか不安だった。

 しかし、セッションの途中から、不安がぱっと消えた。きっかけになったのは、Cherieの「letting the spine yawn」のひとこと。日本語に訳すと「背骨をあくびするように伸ばして」と言っていることになって、なんだかぱっとしないのだが、「背骨にもyawningさせてあげる」という感覚は、いまの私にspot-onだった。そうか、頭で考えずに、背骨にyawningさせてあげればいいんだ。

 CherieもRitaからGyrotonicとGyrokinesisのレッスンをたっぷり受けて、さらにパワーアップしていたので、充実したセッションになった。

 元気になったので、今週末からteachingを再開することにした。

Monday 26 May 2008

ちょっとおやすみ

 GyrotonicとGyrokinesisのmaster trainerのRita Renhaがロンドンに来ていた。Ritaは、Gyro創成期からのmaster trainerのひとりで、今はリオデジャネイロで自分のスタジオGyrotonic Instituto Brasilを運営している。

 彼女のGyrokinesisのセッションには残念ながら参加できなかったのだが、Gyrotonicのほうは、2時間のone to oneセッションを受けることができた。

 レッスンで一番はじめにやったのは、呼吸のしかた。息を吸う時に胸郭を風船のようにふくらませ、吐く時は、風船が自然にしぼんでいくように、肋骨が下に動きながら胸郭が縮まる。これが、まったくできない。ついついおなかで息を押し出してしまい、肋骨の動きが止まってしまう。

 また、レッスン中に一貫して言われ続けたのは「力を入れない」、「がんばりすぎない」こと。ハンドルやケーブルが動きをガイドしてくれるし、動きは体が覚えているのだから、気持ちよく呼吸しながら、気持ちよくからだを伸ばしていくだけ。でも、それができない。

 できないできないと思いながらも、明るいRitaに励まされ、おだてられながら2時間動き続け、セッションが終わった時には、これからの練習課題のリストと、疲れてるけれど気持ちのいいあたまとからだが残った。

 「がんばること」は得意なのだが、「がんばらないことをがんばること」は一番苦手。3月から、毎週末の最低1セッションのteachingと、週2セッションの自分の練習を「がんばって」こなしてきたのだが、「がんばらない」ことが課題になったら、どうやって練習したらいいのか、いささか途方にくれてしまった。あたまの中の混乱の嵐が静まるまで、ちょっとお休みしたほうがよさそう。そんなわけで、約3ヶ月ぶりにGyrotonicのない週末を過ごした。

Sunday 25 May 2008

テクニック・セミナー

 今月は、毎週土曜日、タンゴのテクニック・セミナーがあった。

 私の先生のKimとDavidは、土曜日の午後、4回ごとのサイクルで、いくつかのワークショップを開催している。テクニック・セミナーはそのひとつで、パートナー・ワークはいっさいなく、丸2時間、個人技を練習する。5月のセミナーでは、前後左右への体重移動から始まり、adornmentのバリエーション、ochoのバリエーション、pivotのバリエーションを習った。

 普通のpivotですらうまくできないのに、足さばきを入れたpivotなどできるわけがないと思うのだが、Davidが鬼の笑顔で見てまわっているので、よろよろしながら練習せざるをえない。おもしろいもので、難度の高い技を練習するなかで、基本技の大切な部分が見えやすくなる。また、簡単なものがずっとやりやすくなる。

 4週間のセミナーが終わり、ようやくadornmentをしながら歩けるようになった。できるようになると欲が出てきて、もっと練習したくなる。次回のセミナーが楽しみである。

Kim & David @ Tango Movement

Monday 5 May 2008

virtuoso

 今日はバンクホリデーのため、3連休である。ようやく気温が上がって春らしくなり、うれしい。

 今回のバンクホリデーはいくつがイベントがあって忙しいのだが、そのひとつは、South BankでのLondon Guitar Festival。Queen Elizabeth Hallで金曜からFlamenco guitaristsのコンサートが3日連続であった。

 今回出演したのは、Niño de PuraVicente AmigoJose Antonio Rodríguezの3人。Vicenteは2年前のSaddler's Wellsで聴いたことがあったが、あとの2人は、今回初めてである。

 演奏スタイルも音楽も三者三様でおもしろかったが、大ヒットはなんといってもNino de Pura。抜群のテクニック。表現豊かな演奏。まさにvirtuosoで、もっともっと聴きたいと思わせる素晴らしいライブだった。空席が目立っていたのがもったいなかった。

 YouTubeでいくつか彼の演奏しているクリップを見つけた。

 videoで聴いてもすごいのだが、生演奏は、もっとすごかった。

 なぜか、3日間とも同じカンタオール(歌い手)が出演していた。彼は、ズボンは黒なのに、3日間とも真っ白の靴を履いていた。不思議。

Wednesday 23 April 2008

killer shoes

昨日、新しいタンゴ・シューズの履き初めをした。

 ブエノスアイレスにあるタンゴシューズ専門店のcomme il fautのもので、黒のベルベット地に淡いピンクのリボンがついた、9cmのピンヒール。

 まだミロンガ(タンゴのサロン)デビューを果たせるほど上達していないので、これはもちろんお稽古用である。こんな素敵な靴をもったいないと思うが、サイズが小さいために7種類しか選択肢のない中で、ぴったり合うのがこれしかなかったのだ。

 9cmもあるピンヒールで果たしてまっすぐ立てるのかどうか、ひじょうに不安だった。しかし、さすがcomme il faut。ピンヒールと思えないほど重心が安定している。足底もしっかり支えてくれるので、今朝起きた時、足の裏が痛むこともなかった。

 あとは、練習に励むのみ!いい靴を履いて練習すると上達が早いだろうし。

Sunday 30 March 2008

Gyrotonic® Apprentice Trainer

 最近、履歴書に新しい肩書きが増えた。「Gyrotonic Apprentice Trainer」という。ちなみに、Professional Qualificationsではなく、Personal Interestsの項目に入っている。

 Gyrotonicというワークアウトには以前から興味はあったのだが、ふと思いたって、家から一番近いスタジオに行ってみたのが去年の夏。あっという間にはまってしまい、以降、毎週2回、1時間のone-to-oneセッションに通いつめることになった。

 Gyrotonicというのは、Pulley Tower(滑車式のウェイトを使用したケーブルとストラップのついたタワー)とHandle Unit(コーヒー・ミルのような装置のついたベンチ)と呼ばれる器具を使ったエクササイズである。

私の先生のCherie (http://www.thethirdspace.com/bi/)

 一見、中世の拷問具に見えなくもない器具を使い、ダンス、水泳、器械体操、ヨガ、太極拳などの動きを取り入れた、立体的・回旋・らせん状の動きを行う。

 全身のストレッチ、ワークアウトとしてもすぐれものだが、それよりも、セッションが終わったときに、頭の中が空っぽになり、気分が軽やかになるところが気に入っている(勝手に、mental stretchingと呼んでいる。)

 セッションを重ねていくうちに、もっとGyrotonicについて知りたくなった。しかし、マニュアル本やDVDの類はいっさい門外不出。知識を深めるには、トレーナー養成コースに行くのが(ほぼ) 唯一の方法である。トレーナーになる気はないのだが、それしか方法がなければ仕方あるまい。

 というわけで、まずは1月にロンドンで、6日間の準備コースを受けた後、2月に東京で、12日間の養成コースを受けた 。このコース、途中に1日休みがあるだけで、連日5-6時間のトレーニング。こんな運動漬けの生活なんて、大学の部活の合宿以来、20年ぶりであった。半分くらいの年齢の人たちに混じってのトレーニングは厳しいものがあったが、ぎしぎしと叫びをあげる体をだましだまし、なんとかコースを無事に修了し、Apprentice Trainer(見習いトレーナー)のお免状をもらった。

 ひとつ達成すると、欲が出るものである。ロンドンに戻り、筋肉痛から開放されたら、せっかくここまでやったのだからトレーナーの資格をとろうと、急に気が変わった。

 Certified Trainer(認定トレーナー)になるためには、1年以内に60レッスンをこなし、さらにもう2つのコースに行く必要がある。

 本当に最後までたどり着けるかどうかは心もとないが、見習いトレーナーとして、週末に細々とレッスンを始めたところである。