Tuesday 10 June 2008

エルフ耳

 今日はGyrotonicのお話。

 このところ、どうやって背骨を長くして、脊椎骨ひとつひとつのあいだにスペースをつくって、そのスペースを保ちながら背骨を反らせたり(arch)丸めたり(curl)するかというのを、練習のテーマにしている。おかしな癖があって、archの時に、上を向きすぎて首がうしろに反りすぎてしまったり、胸が前に出すぎてしまったりする。

 先日のRitaとのセッションで、arch & curlの動きを練習していた時のこと。Ritaはいきなり私の両耳をつかんで、上のほうに少し引っ張りあげて、「頭だけでなく、耳も上に」というようなことを言った。えっ、耳?と思ったけれど、このcueがなぜかうまくはまったようで、以来、首がうしろにカクンと曲がってしまう癖は、なおったような気がする。

 耳が上、耳が上、と心の中で唱えながらarch & curlの練習をするたびに、私は一瞬、Lord of the Ringsに出てくるエルフになっている。気分はGaladriel。耳だけなんだけれど。

Saturday 7 June 2008

下駄と鎌とリラックスした踵

 ロンドンには約6万人の日本人がいるといわれ、「○○県人会」やら「○○大学同窓会」など、いくつもの会がある。私は、自分の出身地の県人会には一度も顔を出したことがないのだが、ひょんなことから会長さんとお知り合いになった静岡県人会の毎月の例会には、時々顔を出している。

 静岡県人会は、ニュースレターも発行している。先日、ニュースレターの原稿を依頼されたので、自己紹介を兼ねて、ジャイロトニックとタンゴについての短い文章を書いた。ニュースレターが発行されたので、ここに転載する。(一部改変してあります。)

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 このところ、もっぱら「足形」に悩んでいる。というのも、去年から始めたアルゼンチン・タンゴとジャイロトニックのせいである。

 昔々、器械体操の選手だった頃は、つま先はいつも伸ばしているように指導された。足の指がぴんと伸びて、踵のところで曲がっていないのがお約束。ちょっとでも踵が曲がっていると「下駄!」と声が飛んできた。この経験から、体操やダンスに関する分野では、つま先は伸ばすものだと信じていた。

 ところが、ちがったのである。

 まずタンゴでは、つま先をのばし、足をやや外側に向けた「足形」が基本である。一見バレエなどの足形に似ているが、タンゴの場合、ただ伸ばすだけではなく、「踵をリラックスさせる」、つまり、つま先はきっちり伸びているのに、踵はリッラクスしながらも少し曲がっている。「relaxing the heals!」と注意されるたびに、そんなことは可能なのか、不思議に思う。KimもDavidもやっているのだから、もちろん可能なのだろうけれど、私の足は言うことをきかない。

 もうひとつは、ジャイロトニックの「足形」。大腿後面のエクササイズでは、動きに合わせてつま先を伸ばしたり(”point”)、踵から曲げたり(”flex”)する。時には、ダンスの「足形」同様、足をやや外旋させる。ところが、器具とウェイトのせいで、なかなか自分の動きをコントロールできず、踵が曲がった状態で、つま先と足底が内側に向いてしまい、極端な内股歩きのような「足形」になってしまう。この世界では、これは「鎌」と呼ばれる。名前のとおり、鎌の刃に似ているからだ。

 練習すれどもなかなかできるようにならず、夢の中でまでも「足形」に悩むこの頃である。